私はあれから、一人カラオケに出かけるようになりました。声を出す練習のためです。

 

定期的に昼間に1時間ほど、歌いに行きました。ストレス解消にもなるし、楽しい。さらに言えば人前で声を出す練習にもなるからです。

 

ほとんど社会復帰が出来る状態に戻りました。しかし、重ねたブランクは5年。どうしても最後の一歩が踏み出せませんでした。そして、私自身の現実と向き合います。

 

ようやく現実と向き合う。

 

社会に戻るのが不安でした。恐怖でした。

 

私は既に30代で5年も職歴が無い。以前やっていたのもバイトや派遣で長く続かなかった。定期的に辞めてしまう。

 

「ひとつの事を続けられない。」

 

私のような人間には全く向いていない世の中です。生き辛くて仕方ないし、他人との付き合い方が分かりません。

 

私は子供の頃から信用していた人達にあれほどのいじめを受けました。この社会でこの先、仮にも何十年も生きることが苦しくて仕方がありません。

 

人との出会いが怖くて仕方ありません。

 

いざ社会に戻ると考えても、絶望以外に何があるのか?不安で一杯です。

 

よく、「欲しいものがあるから働く」「経験が財産だ」など、動機をつけて働くモチベーションにするということがありますが、私にはそれが全く分かりません。

 

根本的にその欲求が湧いて働いても、とてもつまらないし、すぐにやる気がなくなります。

 

無理矢理自分に働く動機をつけても、結局は心に無理が来て辞めるのです。

 

「欲しいものを手に入れて、その先は?また欲しいものを探すのか?」

 

「経験を手に入れて?それでどうなるんだ?その先はなんだ?」

 

私にはもうごまかしや思い込みが効きません。本当に生きる理由がないと、動けませんでした。

 

そして、私にはずっと子供の頃から探していても、ありませんでした。見つかりませんでした。

 

一つあるのは、世界の真理が明かされて欲しいという願い。ですが、それは働く事とは全く関係ありません。

 

大きくなって働いて結婚して、子供が生まれて、老人になって亡くなる。

 

私には人間の一生が幼い頃から疑問で仕方なかったし、自分には合わないと、なんとなく感じていたのです。

 

「合う合わないの問題じゃない。」「そういうものなんだよ。」

 

無理矢理納得しようとしても、納得できませんでした。どうしたら納得できるのか、本当に教えて欲しいです。今もずっと。

 

子供の頃の自分と、現実と、将来への不安。頭の中に様々なものがよぎります。

 

私は根本的にこの社会と全く合わないのだと自覚していますが、何とかして納得する理由を見出し、働かなければ生活できないのも事実です。

「折り合い」が上手くつけられないからずっと心が不安定で困っているのです。

 

近所いじめから立ち直り、そして再び社会へ戻る。その現実が私には辛く、苦しいもので、私はまたこの困難の前で立ち往生する事になりました。

 

地獄を抜けたら、また地獄が待っていたのです。

応募しようとするも・・・

どちらにせよ選択肢はありません。とりあえず、応募してから考えるようにします。

 

応募するためにタウンワークなどを持って帰って、良さそうなものに丸をつけます。

 

ですが、どうしても電話が出来ません。応募が出来ません。

 

女性のいる職場は避けました。近所関係の影響です。

 

職を選べる立場ではないのに、そもそも応募すら出来ないのに・・・

 

毎週タウンワークを持って帰っては、ゴミ箱に入れる作業です。

 

勢いで応募しようとしても、どうしても止まってしまいます。

 

再び私は動画やゲームをする毎日に戻りました。

 

「どうにもならないこの胸のモヤを取り除いて欲しい。」

 

「この世界から抜け出したい。」

 

そう思いながら生きています。今もずっと。

 

酒の勢いでやってしまえ!

そんな時、年末年始の郵便局のハガキが届きます。

 

私はこの時、「チャンスだ」と感じました。

 

5年ブランクのある私が、いきなり短期バイトでも何ヶ月も続けるというのはハードルが高い。しかし、年末年始の短時間なら、すぐ終わるし、リハビリになると。

 

近所いじめのあった時もそういえばこの応募ハガキは来ていました。しかし、それどころではなかったので見向きもしなかったんだと思います。(いじめが始まってからは日常に対しての記憶が曖昧です。)

 

自分の存在を貶め、人としての尊厳を一方的に奪った相手たちの主犯に、自らの意思で反撃した事が、明らかに私の力になっていました。

 

結果はどうあれ、そして世間が私をどう見ようと、私は自身の奪われた尊厳を取り戻していたのです。

それは、私にしか分からないものですが、確かに私は取り戻したのです。

 

私はこの短期間のバイトから始める事にしました。

 

おそらく、あの経験が無ければこの応募すら勇気が出ませんでした。

 

「もう踏み出してしまえ!後のことなんか知るか!」

 

何日も迷った末、私はお酒を飲み夜中にヤケ気味に書いて応募ハガキを出しました。結局週末に出しました。

 

返事が来たのは、かなり後でした。そしてそこには面接の案内が。

 

久しぶりの面接。結果は・・・

私は実に5年ぶりにバイトの面接を受けに行きました。出発前に何度も「断ろう」と考えました。

 

しかし、「受けてみるだけ受けてみよう」と何度も自分を説得しました。

 

面接のために出かける前、私は汗をかくほど筋トレをしました。やれることはやったのです。後は再び進むだけだと。

 

そして当日、面接を受けます。余談ですがどうやら面接案内が来るのが遅かったのは、応募が殺到したからのようです。

 

私は引っ越してくる前は郵便局で配達のバイトをしていたので、そのことを書きました。当然、配達にしないかと勧誘されます。

 

私は断りました。流され続けた結果が今の自分です。勇気を取り戻した私は自分の意志を表明し、内務のバイトにしました。

 

面接が終わった後、喫茶店に寄ってコーヒーを一杯飲んで、落ち着いてから帰りました。

 

「まぁ落ちたら落ちたで仕方ない。その時はまた考えよう。」

 

とりあえず、面接を受けた。また一歩進みました。

 

結果は・・・

結果は大分後で来ました。自分ではもう落ちているのだろうと考えていたくらいです。

 

なんせ12月のクリスマス直前でしたから。

 

「やれるだけはやった。他の面接も今度受けてみようかな。」

 

そう考えていた矢先です。採用通知が届きました。どうやら補欠合格?っぽいです。採用したバイトが予想以上に初日に辞めたので欠員補充のようです。

 

私はこうして社会復帰への最初の一歩を踏み出す事になりました。

 

次回へ続きます。

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