今年の三月一日に亡くなられた、現役の美術家で独身女性の、篠田桃紅氏の人生経験が詰まった文庫本です。

 

若い方にも参考になると思います。色々達観した独自の人生観は参考になります。今の私にも影響を与えられています。

 

その引用で私のお気に入りの一部分を紹介します。

私は生涯、一人身で家庭を持ちませんでした。どこの美術家団体にも所属しませんでしたので、比較的、自由に仕事をしてきましたが、歳をとるにつれ、自由の範囲は無限に広がったように思います。

 

自由という熟語は、自らに由(よ)ると書きますが、私は自らに由って生きていると実感しています。自らに由っていますから、孤独で寂しいという思いはありません。むしろ、気楽で平和です。

 

この歳になったからこれをしてはいけない、この歳だからこうしなくてはいけないと思ったことがないのです。自分の生き方を年齢で判断する、これほど愚かな価値観はないとおもっています。

私の女学生時代は、「いい歳をした」若い女性はお嫁に行くものだとされていました。戦前でしたので、二十三歳までに結婚しないと条件が悪くなると言われました。二十五歳を過ぎたらオールドミスと疎んじられ、私のまわりは、みな、卒業と同時に、親が決めたお見合い相手に嫁いでいきました。

 

私が、自由に作品をつくることができるようになったのは、戦後になってからのことで、三十代後半になっていました。初めて個展を開いたのは、戦後の混乱期で、四十歳を過ぎていました。その後、四十三歳で渡米しましたが、この渡米がきっかけとなり、私の作品は世界中に広まることとなりました。

 

これはまだ序文です。200ページある中の50ページまでに書かれている引用だけです。内容は非常に濃厚で、今を生きる私たちの指針ともなる生き方が表れています。私はこうして記事を書くために読み返しましたが、あらためて自分の人生を大事にしたいと確認できました。おススメです。

 

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